PCR-50 / PCR-30

対象を選ばない“万能”MIDIコントローラー


PCR-50 PCR-30 PCR-50 / PCR-30は、ツマミ、スライダー、ボタンなど数多くの操作子と、演奏用鍵盤を備えた“フィジカルMIDIコントローラー”だ。
 さまざまなメーカーのシンセサイザーや、シーケンス・ソフトに対応しており、あらかじめ用意されている「メモリー・セット」を読み込むだけで、パネル上のツマミやボタンで、音色、エフェクト調整、シーケンサーの録音/再生、音量変更などの操作が、リアルタイムに、かつ直感的に行なえるようになる(つまりPCRが、そのソフト / ハードに合った専用コントローラーになってしまうのだ)。
 もちろんユーザー独自の設定も可能。多用途に使えるおすすめのアイテムだ。

お気に入りのソフトシンセが「直感」で操作できる。
 音楽ソフトや、MIDI音源モジュールなどが、これだけ高機能になっても、昔の機材にかなわないのが“操作性”だ。ソフトシンセやシーケンス・ソフトは、ツマミやボタンまで“バーチャル”になってしまったし、音源などのハードウェアも、小型化にともなって操作メニューが階層化されたり、裏技のような複数ボタンの同時押しが必要になってきている。
 こういった新しいやりかたに慣れるのもいが、「音だけ聞きながら画面を見ずに作業を進めたい」、「複数のツマミを“同時に”かつ“違った方向に”動かしたい」といった欲求があるなら(あるいは、マウスを操作していてイライラしたり、画面に表示されたツマミを直接手で動かしたくなったことがあるなら)今すぐフィジカルMIDIコントローラーを入手すべきだ。
使い慣れたソフトや機材も、今以上に手になじんだ「道具」として働いてくれるだろう。
 現在、各国のメーカーからさまざまなフィジカルMIDIコントローラーが発売されているが、ここで紹介するのはそれらの中でもずばぬけた能力を持つEDIROLの“PCRシリーズ”だ。パネル上面に見える多数のツマミやボタンのうち、ロータリーノブ×8個、スライダー×8個、ボタン×9個、さらに背面の端子に接続したオプションのペダル(ON/OFF型×1個、ボリューム型×1個)に機能を割り当てられ、これらを使ってシンセやシーケンス・ソフトをコントロールできる(図1)
 PCRが優れているのは、これらのツマミやボタンに“任意のMIDIメッセージ”を割り当てられること。このおかげで他のフィジカルMIDIコントローラーで操作できないシンセや、専用コントローラーを必要とするシーケンス・ソフトでも使えるのだ。
 また出力するMIDIポートをツマミやボタンごとに2つから選択できるので(USB接続の場合、PCからはMIDIポートを2つ持っているように見える)、1台でソフトシンセとシーケンス・ソフトを同時にコントロールすることも可能になっている。
 ツマミやボタン合計27個分の設定「メモリー・セット」は、本体に15種類まで保存しておける。SMF(スタンダードMIDIファイル)でも保存 / 配布可能で、すでにさまざまなソフトウェア / ハードウェア用のセットが、Roland / EDIROLのWEBサイト(http://www.roland.co.jp/cs/)からダウンロード可能になっている(図2)
PCR-30のコントローラー メモリーマップ・リスト Orchestral画面
図1 機能が指定できるのは、ツマミ、スライダー、ボタン、ペダルの合計27個。これを超える場合はメモリーセットを本体内に保存し(15個まで)切り替えながら使う。それぞれの特徴を生かすことで、ソフトや機材の使い勝手が飛躍的に高まる。   図2 シンセやシーケンサー用の設定(メモリーマップ)は、RolandのWebサイトでダウンロード可能。他社製品用のマップも多数用意されている。   図3 DXi / VSTi プラグイン・ソフトシンセは、ホスト・アプリケーション経由でコントロール可能。画面はEDIROLのHQソフトウェア・シンセサイザー「Orchestral」。

マスター・キーボードとしての能力。
 鍵盤は、標準サイズでベロシティ対応。タッチにもクセがなく、リアルタイムでの入力(演奏)にも十分使える。弱く弾いた時のベロシティ(強さ)を指定できる“ベロシティ・オフセット機能”が意外に便利で、キーボードに慣れていない人や、握力の弱い人でも、最初から粒の揃った演奏ができるのだ。マスター・キーボードに必須の機能(プログラム・チェンジ、MIDIチャンネル設定、ピッチベンダーなど)は、ボタンやツマミに割り付けることも可能だが、通常の位置にも用意してあるので、誰が使っても混乱なく操作できるだろう(図4)。なお、鍵盤にはアフタータッチ機能(弾いた後、鍵盤をさらに押し込むことで音色等に変化を付ける)が搭載されていないが、ツマミ等に割り付けてMIDIデータとして出力することは可能だ。
 鍵盤の数はPCR-50が49鍵(4オクターブ)と、PCR-30が32鍵(2オクターブ半)。オクターブ・シフト・ボタンで鍵盤の対応する音域を上下することで、ノートナンバー=0〜127のすべてが演奏できる(図5)
 PCRシリーズは、これは、GS、XG、GM2などのマルチ・ティンバー音源を演奏する際に非常に便利な“オムニ・オン”モードを持っている。鍵盤部の送信MIDIチャンネルを切り替えると、ツマミ等に設定したコントロール・チェンジ情報のMIDIチャンネル(本来は固定)が自動的に追従する。
 なお、背面のMIDIイン / アウト端子(各1)は、MIDIインターフェースとしても利用できる。ちなみに専用のUSBドライバは、高速MIDI転送処理=FPT(Fast Processing Technology of MIDI Transmission)に対応している。
MIDI CHボタン付近 PCR左側
図4 バンク・セレクト、プログラム・チェンジ、送信MIDIチャンネルの設定などには、専用のボタンが用意されているので即座にアクセスできる。V-LINKボタンは、V-LINK対応のビデオ機器で、演奏に連動した映像表現を行なうためのもの。   図5 鍵盤で演奏できる音域を1オクターブ単位でどんどん上下できるのがオクターブ・ボタン。ダウンとアップを両方同時に押せば標準の状態に戻る。左のトランスポーズ・ボタンを押しながら操作すれば半音単位の移調も可能。

自分専用のメモリーセットをプログラム。
 現在Roland / EDIROLのサイトhttp://www.roland.co.jp/cs/)で、PCR-50 / PCR-30メモリーセットを、制作・編集・転送・保存するためのソフト「PCR Editor」が公開されている(画面6〜8)。対応OSは、Windows、MacOS 8/9、MacOSXと万全。
 PCR本体を持っていなくても使えるので、とりあえずダウンロードしてみよう。あとは対象ソフト / ハードのマニュアルと、MIDIの基礎知識さえあればオリジナルのメモリーセットが作れる。
 最初はWebで入手できるメモリーセットをそのまま使って、慣れてきたら各ツマミ / ボタンの割り当てを自分用にアレンジして使うのも良いだろう。例えば「左端のツマミは常に△△」というように自宅システム全体の操作系を統一するためにも利用できる。
PCR Editor PCR Editor 設定ウィンドウ PCR EditorでMIDIメッセージを表示
図6 「PCR Editor」のメイン画面。この画面で、MIDIメッセージを割り当てるツマミやボタンを選択する。割り当てた機能のコピー&ペーストも可能だ。   図7 ツマミをクリックすると、ウィンドウが開き、任意のMIDIメッセージが入力できる。ここではシステム・エクスクルーシブ・メッセージを編集している。   図8 オプション・メニューで、割り当てられたMIDIメッセージを表示したところ。左下3つのボタンの色が違うのは、出力MIDIポートが異なるため。

どちらを選べば良いか
 PCR-50 / PCR-30は、いずれもオープン・プライスだが、現在PCR-50が2万5,000円程度、PCR-30が2万円程度で入手可能。鍵盤数以外は全く同じなので、コンパクトさと価格ならPCR-30。両手での入力が必要で、他に演奏用キーボードを持っていないならPCR-50を選ぶのも良いだろう。フィジカルMIDIコントローラーとして十分な機能を持ち、鍵盤も備えた。USBバス電源にも対応と、1台あれば何かと役立ちそうだ。なお、8月には、さらに鍵盤を増やした61鍵モデル“PCR-80”も登場の予定。購入予定の人はこちらもチェックしておこう。

PCR-50 / PCR-30
PCRとテンプレート
発売元EDIROL
(専用エディタDL可能)
価格:オープン・プライス
実勢価格:PCR-30(33鍵)
     2万円前後
    :PCR-50(49鍵)
     2万5,000円前後
【主な機能】
・キーボード:PCR-50:49鍵(ベロシティー対応)
       PCR-30:32鍵(ベロシティー対応)
・アサイナブル・ボタン(B1〜6、L1〜3)
・アサイナブル・ロータリー・ボリューム(R1〜8)
・アサイナブル・スライダー(S1〜8)
・アサイナブル・ペダル端子(P1〜2)
・通常ボタン:メモリ、MIDIチャンネル、プログラム・チェンジ、
       エディット、V-LINK、オクターブ・シフト(+/-)、
       トランスポーズ
・その他:ベンダー/モジュレーション・レバー
・メモリーセット:プリセット1、ユーザー15
・ディスプレイ:7セグメント3桁LED、パワー・インジケーター
・後部パネル:電源スイッチ(USB BUS/OFF/DC IN)
・接続端子:ホールド・ペダル、エクスプレッション・ペダル、
      MIDIイン/アウト端子、USB端子、DC IN端子
・電源:DC 9V(ACアダプター)またはUSBバス・パワー
・消費電流:300mA
・外形寸法:PCR-50:833(W)×232(D)×86.4(H)mm
      PCR-30:600(W)×232(D)×86.4(H)mm
・質量:PCR-50:3.3kg(ACアダプターを除く)
    PCR-30:2.4kg(ACアダプターを除く)
・付属品:ACアダプター(ACP-100)、CD-ROM、USBケーブル
     取扱説明書、テンプレート・シート(GM2/BLANK)
・別売品:DP-2/DP-8フット・スイッチ
     EV-5エクスプレッション・ペダル
【動作条件】Windows
・CPU Pentium/400 MHz 以上
・WindowsXPの場合は400 MHz以上
・OS Windows 98, SE, Me, 2000, XP
・メモリ 64MB以上
・WindowsXP, 2000の場合は128 MB 以上
・USBポート
【動作条件】Macintosh
・CPU G3/233 MHz 以上
・OS MacOS 8.5, 8.6, 9シリーズ, OSX
・メモリ 64 MB 以上
・USBポート
・OMS 2.3.3以降 またはFreeMIDI 1.35以降(OSXを除く)